歌声を編む日々

推しの歌声が導く、音楽をめぐる旅

🎼 歌声の余韻 Vol.19|2026年2月1日号

『歌声の余韻 Vol.19』(2026年2月1日号)のアイキャッチ画像。シンプルな背景にタイトルと発行日を配置したデザイン。
歌声の余韻 Vol.19|2026年2月1日号

📝 更新記事ラインナップ(2026年1月19日〜2026年1月31日)

  • 📅 [月|01.20]:村下孝蔵『初恋』名曲レビュー
     ― 余韻が記憶を揺らす。時代を超えて響く切なさの正体。
     記事を読む

  • 📅 [木|01.23]:秦 基博『青の光景』歌唱レビュー
     ― 静寂が歌声を滲ませる。冬の空気に溶け込む至高の響き。
     記事を読む

  • 📅 [土|01.25]:Juice=Juice『微炭酸 / ポツリと / Good bye & Good luck!』歌唱レビュー
     ― 声の温度が記憶を包む。卒業と旅立ちを彩る三様の感情。
     記事を読む

  • 📅 [月|01.27]:Mott the Hoople『All the Young Dudes』歌唱レビュー
     ― 再生の声が記憶を揺らす。ロッククラシックが今も放つ光。
     記事を読む

  • 📅 [木|01.30]:宇多田ヒカル『初恋』歌唱レビュー
     ― 透明感が記憶を包む。かつての「初恋」とは異なる深淵なる響き。
     記事を読む


☕ 編集後記

今号は、同じ「初恋」という名を持ちながら、まったく異なる景色を描く二つの名曲から始まりました。
冬の静けさの中で聴く歌声は、どこか時間の層をゆっくりと剥がしていくようで、書きながらこちらの記憶までそっと揺らされました。

村下孝蔵さんの『初恋』は、久しぶりに向き合いましたが、やはりあの切なさは唯一無二です。
そしてJuice=Juiceのレビューも、気づけば全シングル制覇まであと2枚。最近ファンになった方にも、彼女たちの声が辿ってきた軌跡を、少しでも丁寧に届けられたらと思っています。

そして今号最大の出来事は、ロッククラシックシリーズで取り上げた Mott the Hoople
なんと、元メンバーの Morgan Fisherさん ご本人からコメントをいただきました。
日本語の記事を見つけてくださり、温かい言葉まで添えていただけたことは、驚きよりも先に胸が震えました。
音楽がつないでくれる縁の不思議さと、書き続けることの意味を改めて感じた瞬間でした。

その流れのまま、新たに英語ブログ 「Quiet Thunder Reviews」 を立ち上げました。
日本の素晴らしいアーティストを、静かに、確かに世界へ届けるための小さな灯です。
翻訳の壁は高いですが、誰かがJ-POPや日本の歌声に触れるきっかけになれば、それだけで十分に報われます。

次回の【冬音巡り2025–2026 #10】は、大貫妙子『SUNSHOWER』。
“凍らない孤独”を抱えた名盤の余韻を辿ります。

音楽の余韻を綴る「歌声の余韻」。
次号も、静かにお待ちいただければ嬉しいです。


Mott the Hoople / All the Young Dudes ── 再生の声が記憶を揺らす歌唱レビュー

Mott the Hoopleの『All the Young Dudes』は、
グラムロックの歴史に名を刻んだだけでなく、
時代も国境も越えて、今もなお誰かの心に火を灯し続けている──そんな作品です。

1972年、解散寸前だった彼らに差し伸べられた一本の手。
それは、デヴィッド・ボウイという名の“未来”でした。

このアルバムには、崖っぷちに立たされた者たちが、
もう一度立ち上がろうとする、その瞬間の声が刻まれています。

長く洋楽を聴いてきた私にとって、
この作品はいつも「音楽は人生を変える力を持っている」と思い出させてくれる存在です。

本記事では、イアン・ハンターの“声”を軸に、
音像・文化背景・そして“再生の物語”をたどっていきます。
あの時代を知らない方にも、きっと何かが届くと信じて。


Mott the Hoople / All The Young Dudesジャケット画像

この一枚が、記憶の扉を開ける鍵になるかもしれません。
※画像クリックで商品ページへ移動します
▶ この音に触れる

▶ 目次を開く / 閉じる


📊 Mott the Hoople『All the Young Dudes』作品データと基本情報

項目 内容
作品タイトル 『All the Young Dudes』
アーティスト名 Mott the Hoople
リリース日 1972年9月8日
ジャンル グラムロック/ハードロック
レーベル CBS(UK)、Columbia(US)
収録曲数 9曲
総再生時間 約38分

🎵 Track Listing(全曲)

# 曲名 備考
1 Sweet Jane The Velvet Undergroundのカバー(作詞作曲:Lou Reed)
2 Momma's Little Jewel サックス演奏:デヴィッド・ボウイ
3 All the Young Dudes シングル/代表曲/作詞作曲・プロデュース:David Bowie
4 Sucker 荒々しいロックナンバー/A面の熱量を再点火
5 Jerkin' Crocus モット本来の“悪ガキ感”が炸裂するロックンロール
6 One of the Boys 冒頭の電話演出が印象的なB面の幕開け曲
7 Soft Ground ボーカル:ヴァーデン・アレン/異質な静寂を生む一曲
8 Ready for Love / After Lights ボーカル:ミック・ラルフス(後にBad Companyで再演)/後半はインスト
9 Sea Diver バラード/ストリングス編曲:ミック・ロンソン/アルバムの終章

🎸 Personnel / Additional Musicians

  • イアン・ハンター:リードボーカル、ピアノ
  • ミック・ラルフス:リードギター、ボーカル(#7)
  • ヴァーデン・アレン:オルガン、ボーカル(#6)
  • ピート・“オヴァレンド”・ワッツ:ベース
  • デイル・“バフェ”・グリフィン:ドラムス
  • デヴィッド・ボウイ:プロデュース、サックス、バックボーカル
  • ミック・ロンソン:ストリングス/ブラス編曲
  • スタン・ティッピンス:バックボーカル

📈 商業的評価

  • 英国チャート:最高3位(「All the Young Dudes」シングル)
  • 米国チャート:アルバムはBillboard 200で89位
  • 後年の再評価により、グラムロックの金字塔として位置づけられる
  • 2006年にリマスター盤がリリースされ、音質とブックレットが高評価を得る

🌏 作品概要──『All the Young Dudes』が放つ核心

このアルバムは、Mott the Hoopleにとって“終わりかけた物語の、もう一度の始まり”でした。
それまでの彼らは、ブルースやR&Bを基調としたハードロックを鳴らすバンド。だが、商業的な成功には恵まれず、解散寸前まで追い込まれていたのです。

そんな彼らに手を差し伸べたのが、当時すでにスターの階段を駆け上がっていたデヴィッド・ボウイ。
ボウイが差し出した「All the Young Dudes」は、ただの楽曲ではなく、“生き延びるための呪文”のような力を持っていました。

この作品には、「敗北からの再生」というテーマが通奏低音のように流れています。
そしてその物語を最も雄弁に語るのが、イアン・ハンターの歌声です。

彼の声は、完璧ではありません。
けれど、その不器用さこそが、当時の若者たちの孤独や怒り、そして希望を代弁していたのです。


🎧 音像・演奏──時代を超えて響くサウンドの深み

『All the Young Dudes』の音像は、まるで“泥だらけのブーツに、グリッターのマントを羽織ったような”不思議な魅力に満ちています。
その“ざらついた声”こそが、このアルバムの中心にあります。

イアン・ハンターの歌声は、ボブ・ディラン譲りの“語りかけるような”スタイルを基盤にしながら、
グラムロックの艶やかさと、R&B由来の泥臭さを併せ持っています。
その独特な声質が、ボウイの洗練されたプロダクションとぶつかり合い、時に反発し、時に溶け合いながら、唯一無二の音世界を築き上げました。

特に印象的なのは、「All the Young Dudes」のサビでの高揚感。
抑制されたAメロから、コーラスで一気に開けるような展開は、まるで曇天の空に一筋の光が差し込むよう。
その瞬間、イアンの声は“代弁者”としてのカリスマ性を帯び、聴く者の胸を打ちます。

一方で、「Sea Diver」では、ピアノとストリングスに寄り添うように、壊れそうなほど繊細な歌声を響かせます。
ミック・ロンソンによる美しい編曲が、イアンの声に“悲劇のヒーロー”のような陰影を与え、アルバムのラストを静かに、しかし深く締めくくります。

また、ボウイのプロデュースによるミックスは非常にクリーンで、イアンの声を前面に押し出す設計。
その結果、歌詞のストーリーテリングが際立ち、まるで彼の語る物語に耳を傾けているような感覚に包まれます。

この音像は、“グラムロック”という言葉ではとても括りきれない。
「再生の物語」を語るために選ばれた音の質感と構造──それこそが、本作のサウンドの深みなのです。


✍️ 歌詞テーマ──言葉が描く情緒と物語

『All the Young Dudes』に刻まれた言葉たちは、単なるロックンロールのフレーズではありません。
それは、時代に取り残された若者たちの“叫び”であり、“祈り”であり、そして“生きていていいんだ”という小さな希望でもありました。

タイトル曲「All the Young Dudes」は、デヴィッド・ボウイが書き下ろした楽曲。
彼はこの曲を、当時の若者たち──特に、社会に居場所を見つけられずにいた“ドロップアウト世代”に向けて書いたと言われています。

“All the young dudes, carry the news…”
「すべての若き野郎どもよ、ニュースを運べ」

この一節に込められたのは、「君たちには意味がある」「君たちが時代を変えるんだ」というメッセージ。
それは、単なる応援歌ではなく、“代弁者”としての視点から語られる、リアルな共感の言葉でした。

イアン・ハンターの歌唱は、この歌詞に命を吹き込みます。
彼は“上手く歌おう”とはしていません。
むしろ、“誰かに届けよう”とするように、語りかけ、叫び、時に崩れそうな声で、言葉を紡いでいきます。

そしてアウトロでの即興的な台詞──

“Hey, you with the glasses!”
「おい、そこの眼鏡の君!」

この一言が加わることで、録音された音楽が、“今、目の前で起きているライブ”へと変貌します。
それは、聴き手との距離を一気に縮め、まるで自分がその場にいるかのような臨場感を生み出すのです。

また、「One of the Boys」や「Sucker」では、“自分はただの一人の若者にすぎない”という開き直りと、“それでもロックンロールがある”という誇りが交錯します。
その言葉の裏には、社会への反抗と、仲間との連帯感が滲んでいます。

このアルバムの歌詞は、時代背景を知らずとも、どこか心に引っかかる。
それは、“完璧じゃない自分を肯定してくれる声”だからかもしれません。


🕰 文化背景・時代性──洋楽史の流れの中で見える“現在地”

このアルバムが放たれた当時、若者たちは社会に対する不満や不安を抱えながらも、どこかで“何かが変わる”ことを信じていました。
「All the Young Dudes」は、そんな彼らの心に火を灯す“アンセム”となり、ラジオから、ライブ会場から、街角から、何度も何度も響き渡りました。

そして今──
このアルバムを聴き返すと、当時の空気だけでなく、“今を生きる私たち”にも通じる感情が浮かび上がってきます。

不安定な時代に、居場所を探しながら、それでも前を向こうとする気持ち。
完璧じゃない自分を、誰かが肯定してくれることの尊さ。

『All the Young Dudes』は、50年の時を超えて、今もなお“若き野郎ども”の背中をそっと押してくれるのです。


💿 再評価のポイント──作品の魅力を深掘りする視点

『All the Young Dudes』は、リリースから50年以上が経った今もなお、再評価の波に包まれ続けています。
その理由は、単なる“懐かしさ”ではありません。
時代を超えて響く“声”と“物語”が、今の私たちにも必要とされているからです。

2006年にリリースされたリマスター盤では、音の輪郭がよりクリアになり、イアン・ハンターの歌声が一層前に出るようになりました。
特に「Sea Diver」や「Momma's Little Jewel」など、繊細なニュアンスが求められる楽曲では、ピアノとボーカルの距離感がぐっと近づき、まるでスタジオの中にいるかのような臨場感を味わえます。

また、アートワークやブックレットにも注目です。
グラムロックの華やかさと、バンドの素朴さが同居するビジュアルは、“虚飾とリアルの狭間”という本作のテーマを象徴しています。
特に、当時の写真やボウイとのセッション風景が収められたブックレットは、ファンにとって貴重な資料となっています。

さらに、今の時代にこのアルバムを聴くことで見えてくる“新しい価値”もあります。
SNSやストリーミングで音楽が消費されるスピードが加速する中で、
“不器用でも、魂を込めて歌うことの意味”が、より強く胸に響くのです。

完璧なピッチや洗練されたプロダクションではなく、
「声に宿る震え」や「言葉の間にある沈黙」こそが、心を動かす──。

そんなことを、あらためて教えてくれる作品。
それが『All the Young Dudes』なのです。


🔥 全曲解説──『All the Young Dudes』を彩るトラックレビュー

1. Sweet Jane — 野性味と都会の額縁が交差する、グラムの幕開け

このアルバムの扉を開くのは、ルー・リードの名曲「Sweet Jane」。
でも、ここで鳴っているのは、あのクールなヴェルヴェット・アンダーグラウンドの世界とは少し違う匂いがします。

ミック・ラルフスのギターは、どこか土の香りがして、
イアン・ハンターの歌声は、都会の恋ではなく、もっと生活に根ざした“リアルな感情”を運んできます。
まるで、夜のパブで誰かが語りかけてくるような、そんな親密さがあるんです。

そして何より印象的なのが、ボウイとミック・ロンソンによる幻想的なバックコーラス。
「Oooh…」という声が、イアンのざらついた歌声をふわりと包み込んで、
まるで粗削りな肖像画に、金の額縁をそっと添えるような美しさを感じさせます。

個人的にぐっときたのは、サビに入る直前の“溜め”の長さ。
ほんの一瞬なんですが、あの間に込められた緊張と期待が、
このアルバムがただのカバーではないことを、静かに教えてくれる気がするんです。

この1曲で、すでに「これはただのグラムロックじゃない」と感じさせてくれる。
そんな、静かだけど確かな“始まり”の一曲です。


2. Momma’s Little Jewel — サックスと唸り声が絡む、湿ったロックンロール

この曲を聴くと、まず耳に飛び込んでくるのが、ボウイの吹くサックスの音。
どこか艶っぽくて、でもどこか寂しげで。
その音に寄り添うように、イアン・ハンターの歌声も、いつもより少し湿り気を帯びているんです。

彼の声には、時折“息の成分”が多く混じっていて、
それがこの曲に、ちょっとした色気と、どこか投げやりな空気を与えているように感じます。
ギターは乾いているのに、ボーカルとサックスだけが妙にウェットで、
まるで雨上がりの夜道を歩いているような、そんな質感があるんですよね。

後半、イアンが喉を鳴らすように唸る瞬間があるんですが、
その“グロウル”が、ただの演出ではなく、彼の中にある苛立ちや焦燥をそのまま吐き出しているようで、
思わずハッとさせられました。

派手さはないけれど、じわじわと染みてくる。
そんな、アルバムの“心臓部”のような一曲です。


3. All the Young Dudes — 群衆の視点から歌われた、取り残された者たちの聖歌

この曲を初めて聴いたとき、
「こんなに疲れた声で始まるアンセムがあるんだ」と、少し驚いたのを覚えています。

イアン・ハンターの歌声は、Aメロではまるで独り言のように低く、
でもサビに入ると、まるで空を突き抜けるように一気に広がっていく。
その高低差が、聴いているこちらの心をぐっと揺さぶるんです。

そして、あの有名な「Hey you with the glasses!」という叫び。
あれはもう、歌じゃなくて“呼びかけ”ですよね。
この瞬間、曲はレコードの中から飛び出して、
まるで目の前で誰かが語りかけてくるような、そんな感覚に包まれます。

この曲が“若者賛歌”として語られることは多いけれど、
私にはむしろ、“取り残された側のアンセム”のように聴こえるんです。
それでも前を向こうとする声──それが、この曲の本当の強さなのかもしれません。


4. Sucker — 歪んだ熱量が再点火する、B面後半の起爆剤

アルバムも終盤に差し掛かって、
ふたたび火がついたように荒々しく鳴り響くこの曲。

ボーカルには深めのコンプレッサーがかけられていて、
楽器と声がぎゅっと密着しているような、独特の圧迫感があります。
でも、その“詰まった感じ”が逆に、曲の熱量を高めているんですよね。

Aメロの終わりに入る笑い声や吐息も、
ただの効果音ではなく、リズムの一部として機能していて、
まるで“感情そのものが音楽になっている”ような感覚があります。

そしてこの曲があることで、 A面は再び熱を帯び、 次の「Jerkin’ Crocus」へと向かう勢いが生まれる。 まるで、再生の物語が一度“地を蹴って”跳ね上がるような、そんな感覚があります。


5. Jerkin’ Crocus — ギターが火を噴く、バンドの野性味が炸裂するロックンロール

アルバムの中でも、ひときわ勢いを感じるのがこの曲。
ミック・ラルフスのギターが、まるで火花を散らすように鳴り響いて、
イアンの歌声も、どこか“煽る”ようなテンションで突き進んでいきます。

語尾をぶっきらぼうに放り出すような歌い方が、
まるで「俺たちはこういうバンドなんだ」と言っているようで、
聴いていて思わずニヤリとしてしまいました。

この曲には、ボウイの影はあまり感じられません。
むしろ、モット本来の“悪ガキ感”が全開で、
グラムの衣装を脱ぎ捨てた、素の彼らが見えるような気がします。

アルバムの中盤で、こういう曲があること。
それが、この作品の“生々しさ”を支えているんだと思います。


6. One of the Boys — 電話のベルとともに現実へ帰る、ロックンロールの終着点

B面の幕開けを飾るこの曲には、 どこか“肩の力が抜けたような軽やかさ”があります。

イアン・ハンターの歌声も、ここでは少しリラックスしていて、 まるで「スターになること」に疲れた男が、 「でも俺は、ただのロックンロール・バンドの一員なんだ」と、 静かに語りかけてくるような雰囲気があるんです。

冒頭の電話のベル──これは、当時のレーベル(CBS)の受付嬢やマネージャーにかけた“本物の電話”とも言われています。 スタジオの中から、外の世界へ繋がろうとするその音が、 グラムという虚構から、現実へと帰っていく演出になっているのが印象的です。

そして最後に鳴る生活音。 A面の熱狂を経て、ここで一度“地に足をつける”。 そんな、ちょっと切なくて、でも温かい再出発の一曲です。


7. Soft Ground — 温度の低い声が生む、異質な静寂

この曲を初めて聴いたとき、
「誰が歌ってるんだろう?」と少し戸惑いました。

それもそのはず、ここではキーボードのヴァーデン・アレンがリードを取っていて、
イアンとはまったく違う、内省的で静かな声が響いています。

オルガンの音色と重なるその声は、
まるで霧の中からぼんやりと浮かび上がってくるようで、
アルバム全体の中でも、ひときわ異質な存在感を放っています。

でも、この“温度の低い静けさ”があるからこそ、
他の曲の熱量やざらつきが、より鮮やかに浮かび上がる。
そんな、陰影をつけるための大切な一曲だと思うんです。


7. Ready for Love / After Lights — 無骨な誠実さが滲む、ハードロックの原型と余韻

この曲を聴くと、ミック・ラルフスというギタリストの“もうひとつの顔”が見えてきます。
彼がリードボーカルを取る「Ready for Love」は、
イアンとはまた違った、素朴でまっすぐな感情が込められているんです。

歌唱としては決して完璧ではないけれど、
その不安定さがかえって“本気の告白”のように響いて、
聴いていて胸がぎゅっとなる瞬間があります。

後にBad Companyでポール・ロジャースがこの曲を歌い、大ヒットしますが、
私はこの“素朴なオリジナル版”にしかない切実さが、たまらなく好きです。

そして、イアンがバックボーカルに回っているのもまた良くて、
主役を立てながらも、彼の声がしっかりと存在感を放っている。
まるで、バンドの絆がそのまま音になったような、そんな温もりを感じます。

さらに注目したいのが、曲の後半に繋がる「After Lights」。
短いインストゥルメンタルながら、サイケデリックな残響と浮遊感が漂い、
ただのロックンロールで終わらせない、ボウイ的な“音の余白”がそこにあります。
この余韻があることで、曲全体がより深く、立体的に響くのです。


9. Sea Diver — ストリングスに包まれた、壊れそうな告白

この曲を夜にひとりで聴くと、
まるで誰かの秘密をそっと覗き見してしまったような気持ちになります。

イアンの歌声は、ここではもう“歌う”というより“語る”に近くて、
高音に差し掛かるたびに、声が今にも壊れそうになる。
でも、その脆さが、どうしようもなく胸に迫ってくるんです。

ミック・ロンソンによるストリングスのアレンジも見事で、
イアンの声が途切れる瞬間に、まるで寄り添うように楽器が鳴る。
その“間”の美しさに、何度聴いても息を呑んでしまいます。

B面のラストにこの曲があることで、 アルバムはただのロックンロールではなく、 “再生の物語を静かに締めくくる、祈りのような終章”へと昇華していく── そんな深い余韻を残す一曲です。


❤️ ここが刺さる!筆者が推す“本作の核心ポイント”

このアルバムを聴き返すたびに、私はいつも思うんです。
「音楽って、こんなにも人を救うんだな」って。

『All the Young Dudes』は、デヴィッド・ボウイのプロデュースによって生まれた名盤──
そう語られることが多いけれど、
私にとってはそれ以上に、
“崖っぷちに立たされたバンドが、もう一度立ち上がる瞬間を記録したドキュメント”のように感じられるんです。

特に心に残るのは、やはりタイトル曲「All the Young Dudes」。
あの疲れたような声で始まり、サビで一気に空を突き抜ける瞬間。
そして最後の「Hey you with the glasses!」という呼びかけ。
あれは、遠くの誰かに向けたメッセージではなく、
“今ここにいるあなた”に向けて放たれた言葉なんですよね。

そしてもう一つ、私がどうしても忘れられないのが「Sea Diver」。
あの壊れそうな歌声と、そっと寄り添うストリングス。
完璧じゃないからこそ、あの曲は心に残るんだと思います。

このアルバムには、
“スターになりきれなかった男たち”のリアルが詰まっています。
でもだからこそ、
「自分もまだ、ここにいていいんだ」と、
そっと背中を押してくれるような優しさがある。

もし、あなたがこのアルバムを初めて聴くなら、
どうか“完璧さ”を求めずに、
その声の震えや、言葉の間にある沈黙に耳を傾けてみてください。

きっと、あなたの中にも、何かが響くはずです。


🌍 For International Readers

Album Review in Brief: A Voice That Shakes Memories

Mott the Hoople’s All the Young Dudes (1972) stands as a document of resurrection—an album that captures the moment a band on the brink of collapse is pulled back into the light. Written and produced by David Bowie, the title track becomes both a lifeline and a manifesto, transforming the group’s weary spirit into a collective cry for survival. Ian Hunter’s voice, imperfect yet deeply human, anchors the album’s emotional core. His delivery carries the loneliness, frustration, and fragile hope of a generation searching for meaning in the early 1970s.

The album’s sound world blends gritty hard rock roots with glam‑infused color. Hunter’s unvarnished, soulful vocals collide with Bowie’s polished production, creating a visceral tension that feels like life itself—messy, unsteady, but undeniably alive. Tracks such as “Sweet Jane,” “Momma’s Little Jewel,” and “Sea Diver” reveal different shades of vulnerability, from swaggering bravado to whispered confession. The famous shout—“Hey, you with the glasses!”—collapses the distance between performer and listener, turning the recording into a living moment.

Lyrically, All the Young Dudes speaks for those who felt left behind: the outsiders, the uncertain, the ones who could not become “stars.” Yet its message is ultimately affirming. Across its imperfections, the album insists that simply continuing to exist is an act of defiance and beauty. More than fifty years later, this record still offers a quiet hand on the shoulder—a reminder that even the most fragile voice can carry the news, and carry us forward.


English version of this review:
English Review


🎵 関連レビューと“次の一枚”への誘い

『All the Young Dudes』を聴き終えたあと、
ふと、あの時代の空気をもう少し吸い込みたくなることがあります。
そんなとき、そっと寄り添ってくれるのが、こんな作品たちです。

どちらも、“完璧じゃない自分”を肯定してくれるような音楽です。
そして、どちらも“声”が物語を語るアルバム。

また、もしこのレビューをきっかけに
モット・ザ・フープルというバンドに興味を持っていただけたなら、
彼らの“その後”を描いた以下の作品もおすすめです。

  • 『Mott』(1973)
     ──「All the Way from Memphis」など、より自信に満ちた“声”が響く、グラム期の頂点。

  • 『The Hoople』(1974)
     ──バンドの終焉を予感させる、華やかでどこか切ないラスト・グラム。


また次回、音楽と記憶が交差する場所でお会いしましょう。
あなたの耳に、今日も素敵な一曲が届きますように。


作品を聴く


レビューで触れた“声の温度”や“息づかい”を、ぜひ実際の音で感じてみてください。 ここでは公式音源をいくつかご紹介します。

※動画は「Mott The Hoople - All the Young Dudes (Audio)」公式YouTubeより引用

音の表情や息づかいを感じながら、レビューと併せて楽しんでいただければ嬉しいです。

🎧 Spotifyで試聴

※音源はSpotify公式より引用

💿 Amazon Musicで試聴

▶Amazon Musicで【All The Young Dudes】を聴く

※リンクはAmazon Music公式ページへ遷移します

この音の余韻とともに──さらに深く楽しむ

このレビューが心に響いたら、ぜひシェアして音楽の魅力を広めてみませんか。 あなたの感想も添えていただけたら、とても嬉しいです。

🐦 X(旧Twitter) 📘 Facebook 💬 LINE 🔖 はてなブックマーク

▶ 記事情報を開く

記事情報

  • タイトル:Mott the Hoople / All the Young Dudes ── 再生の声が記憶を揺らす歌唱レビュー
  • 公開日:2026/1/27
  • 著者:我楽(音楽レビューブログ運営)
  • ブログ名:歌声を編む日々
  • カテゴリ:アルバムレビュー/Rock/洋楽
  • ジャンル:グラムロック/クラシックロック/70sロック
  • アーティスト:Mott the Hoople
  • リリース日:1972年7月28日
  • レーベル:CBS / Columbia
  • 演奏メンバー:Ian Hunter(Vo, Piano)/Mick Ralphs(G)/Pete Overend Watts(B)/Dale Griffin(Dr)/Verden Allen(Key)/David Bowie(Backing Vo, Sax, Producer)/Mick Ronson(G, Arr.)ほか
  • 収録曲:Sweet Jane/Momma’s Little Jewel/All the Young Dudes/Jerkin’ Crocus/Sea Diver/One of the Boys/Soft Ground/Ready for Love/Sucker
  • テーマ:グラムの仮面と労働者階級のリアル、再生の声と記憶の揺らぎ
  • 著者スタンス:アーティストへの敬意と作品への還元を願い、音楽の魅力を世代やメディアを超えて伝える“橋渡し役”として執筆。
  • 評価(★):4.8 / 5.0

🎤歌声の余韻 Vol.18|2026年1月18日号

今号のレビューラインナップ:中森明菜、Radiohead、段原瑠々、Juice=Juice、中島美嘉──冬の空気に響く歌声たちの記録。

🎵更新記事ラインナップ(2026/01/04〜2026/01/17)

  • 🗓火|1/06:中森明菜『プロローグ〈序幕〉』解釈レビュー
     少女の息づかいと、まだ言葉にならない孤独が、静かに胸の奥へ沈んでいく。
    記事を読む

  • 🗓金|1/09:Radiohead『A Moon Shaped Pool』解釈レビュー
     音が触れた瞬間に、記憶の輪郭がふっと揺れ動く──そんな冬の白さ。
    記事を読む

  • 🗓土|1/10:段原瑠々『ルルウタアンコール』密着映像・作品レビュー
     まっすぐ伸びる声が、冷たい空気を押し広げるように熱を帯びていく。
    記事を読む

  • 🗓日|1/11:Juice=Juice『SEXY SEXY』歌唱レビュー
     変わらない情熱が、季節の移ろいをそっと追い越していく。
    記事を読む

  • 🗓火|1/13:中森明菜『明菜』解釈レビュー
     霧の奥で響く声が、祈りとため息のあいだを揺れながら届く。
    記事を読む

  • 🗓金|1/16:中島美嘉『雪の華』歌唱レビュー
     震える声の粒が、雪のように静かに心へ積もっていく。
    記事を読む


🧠編集後記

冬の空気が澄むほど、歌声の細かな揺れや温度が、いつもより近くに感じられる気がします。
音の輪郭がくっきり立ち上がる季節というか、こちらの耳の感度が自然と研ぎ澄まされるというか──そんな感覚の中で記事を書き進めた二週間でした。

今号では、偶然にもJuice=Juiceにまつわる二つのレビューが並びました。
『SEXY SEXY』を改めて聴き込んだとき、段原瑠々さんが加入したあの頃の“まだ少し不安を抱えた熱”のようなものがふっと蘇ってきて、思わず手が止まった瞬間がありました。
今の彼女たちの輝きの源流に触れたような、そんな時間でした。

音楽を通じて誰かと気持ちを共有できることが、やっぱり自分にとって大きな支えになっています。
これからも、一つひとつの音に耳を澄ませながら、丁寧に言葉を紡いでいきます。

次回の“冬音巡り”第08回は、秦 基博『青の光景』。
どうぞ、次の余韻も楽しみにしていただけたら嬉しいです。


Radiohead / A Moon Shaped Pool ── 静寂が記憶を包む解釈レビュー

【冬音巡り2025–2026 #06】 冬の名盤レビュー|Radiohead『A Moon Shaped Pool』と“氷の湖に映る心の残像”

かつてレコードの針を落とす瞬間の静寂に胸を躍らせたあの日から、
音楽の聴き方は大きく変わりました。
それでも──どれほど時代が移ろっても、私たちの心を震わせる“真実の音”は確かに存在し続けています。

今回の「冬音巡り」シリーズで取り上げる
Radiohead『A Moon Shaped Pool』 は、
オルタナティブ・ロックの歴史に深く刻まれるだけでなく、
国境や文化を越えて響く普遍性を持つアルバムとして、
今なお多くのリスナーに再評価され続けています。
冬という季節に改めて向き合うと、その静けさと深さがいっそう際立つ一枚です。

『The Bends』『OK Computer』でギター・ロックの概念を塗り替え、
『Kid A』でエレクトロニカの未来を切り拓いた激動の時代を、
私たちはリアルタイムで共に歩んできました。
そんな彼らがキャリアの円熟期に辿り着いたこの第9作『A Moon Shaped Pool』で鳴らすのは、
かつての鋭利な叫びではなく、
深く、澄み切った“受容”の音色──まるで冬の空気のように静かで、どこか温かい響きです。

緻密なオーケストレーション、崩れゆく世界への静かな警告、
そして避けがたい「別れ」という個人的な痛み。
長く洋楽史を見つめてきた筆者の目には、
『A Moon Shaped Pool』がこれまで以上に、
私たち一人ひとりの人生にそっと寄り添う“冬の名盤”として輝いているように映ります。

氷の湖面に揺れる光のようなこの作品を、
今日は一緒に辿ってみませんか。


Radiohead  - A Moon Shaped Poolジャケット画像

この一枚が、記憶の扉を開ける鍵になるかもしれません。(記事の内容で変更)
※画像クリックで商品ページへ移動します
▶ この音に触れる

▶ 目次を開く / 閉じる


🎼Track Listing

冬の空気のように澄んだ音が並ぶ『A Moon Shaped Pool』。
ひとつひとつの曲が、まるで氷の湖面に落ちる光の粒のように、静かに心へ染み込んでいきます。

No. 曲名 備考
1 Burn the Witch 先行シングル。緊張感あふれるストリングスが社会の影を照らす
2 Daydreaming ピアノが揺らめく夢の回廊。アルバムの象徴的シングル
3 Decks Dark 宇宙的な広がりと不穏さが交差するサウンドスケープ
4 Desert Island Disk アコースティックの温度が心をほぐすフォーク調ナンバー
5 Ful Stop 催眠的なビートが加速し、闇の中を駆け抜けるような一曲
6 Glass Eyes ピアノとストリングスが描く、繊細な“心の震え”
7 Identikit コーラスと鋭いギターが絡み合う、断片的な感情の奔流
8 The Numbers 自然への祈りが宿る、壮大で温かなストリングス
9 Present Tense ボサノヴァのリズムに寄り添う、切なくも前向きな歌
10 Tinker Tailor Soldier Sailor... 霧の中で形を変えるような、複雑で夢幻的な音像
11 True Love Waits 20年越しに結実した“祈りのバラード”。静かに胸を締めつける

🎻 Personnel / Additional Musicians

『A Moon Shaped Pool』の静謐な世界は、Radioheadの5人だけでなく、
長年彼らの音を支えてきた仲間たちの手によって、丁寧に紡がれています。
冬の空気のように澄んだサウンドの裏側には、こんな面々の存在がありました。

  • Radiohead
    Thom Yorke(Vocal, Guitar, Piano)
    Jonny Greenwood(Guitar, Strings Arrangement)
    Colin Greenwood(Bass)
    Ed O’Brien(Guitar, Backing Vocal)
    Philip Selway(Drums)

  • Producer:Nigel Godrich
    └ “第6のメンバー”と呼ばれるほど、バンドの音像を形作ってきた存在。
    本作でも、冬の光のような透明感を生み出す要となっています。

  • Strings & Choir:London Contemporary Orchestra
    └ Jonny Greenwoodによるアレンジが、アルバム全体に“凍てつく美しさ”を与えている。

  • Additional Drums:Clive Deamer(“Ful Stop”)
    └ 催眠的なビートに深みを加え、曲の推進力を静かに支える。


🏆商業的評価

『A Moon Shaped Pool』は、リリース当時から世界中で高い評価を受け、
Radioheadというバンドが“成熟の極みに達した瞬間”を象徴する作品として語り継がれています。

  • 全英チャート1位
    └ デビューから20年以上を経てもなお、彼らの存在感が揺るがないことを示す結果。

  • 米 Billboard 200:3位
    └ 実験性の高い作品でありながら、幅広い層に受け入れられた稀有な例。

  • 第59回グラミー賞「最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム」ノミネート
    └ 批評家だけでなく、音楽業界からも“その年を代表する作品”として認められた証。

  • Pitchfork 9.1/10、Rolling Stone 4.5/5 など高評価多数
    └ 主要メディアがこぞって絶賛し、2010年代の名盤として数多くのランキングに選出。

こうして並べてみると、
このアルバムが単なる“人気作”ではなく、
時代の空気と個人の感情、その両方を深く捉えた作品として評価されている
ことがよく分かります。

冬の静けさの中で聴くと、
これらの評価が決して大げさではないことを、
きっとあなたも感じ取れるはずです。


🌏 作品概要──『A Moon Shaped Pool』が放つ核心

初めてこのアルバムを聴いたとき、
私は不思議な“解放感”を覚えました。
それは、長い冬の夜が明ける直前の、あの静かな瞬間に似ています。

かつてRadioheadが抱えていた、
時代への強烈な違和感や怒り──
『OK Computer』や『Hail to the Thief』で噴き出していた鋭いエネルギーは、
ここでは霧のように静かに溶けていきます。
抵抗や焦燥ではなく、
“受け入れること”によって生まれる深い呼吸のような音楽。

ジョニー・グリーンウッドが映画音楽で磨いたストリングスの深み、
トム・ヨークの消え入りそうでいて確かな体温を持つ声。
そのすべてが、冬の空気のように澄んだ音像へと結晶し、
アルバム全体をひとつの“静かな物語”へと導いています。

前作『The King of Limbs』のビート主導の実験性から一転し、
本作ではメロディの美しさが前面に押し出されました。
キャリア30年近くを経て、
彼らが“最も人間らしく、最も脆い部分”をさらけ出した作品──
それが『A Moon Shaped Pool』です。

怒りでも、絶望でもなく、
ただそこにある感情を静かに見つめる。
その姿勢こそが、このアルバムが冬に聴くといっそう胸に染みる理由なのかもしれません。


🎧 音像・演奏──時代を超えて響くサウンドの深み

『A Moon Shaped Pool』の魅力は、派手さではなく、
“静けさの中に宿る深さ” にあります。
冬の空気が澄んでいくように、音がひとつひとつ輪郭を持ち、
聴くほどにその奥行きが広がっていく──そんなアルバムです。


■ アナログテープ録音が生む“温度”と“余白”

プロデューサー Nigel Godrich は、
デジタル全盛の時代にあえて アナログテープ を選びました。

その選択がもたらしたのは、
“音の余白”がしっかりと息づく、柔らかい温度感。

冬の静けさの中で聴くと、
このアナログ特有の丸みが、まるで暖炉の火のように
そっと心を温めてくれます。


■ ストリングスの質感──凍てつく美しさと有機的な温度

オープニングを飾る「Burn the Witch」では、
弓の背で弦を叩く コル・レーニョ奏法 が印象的。

その音は、
- 不穏で
- 緊張感があり
- それでいてどこか“生き物のような温度”を持つ

という、Radioheadならではの二面性を見事に体現しています。

ジョニー・グリーンウッドの映画音楽的アプローチが、
アルバム全体に“凍てつく美しさ”を与えているのです。


■ ピアノの残響──記憶の奥に触れるような深い響き

「Daydreaming」のピアノは、
古い教会の片隅で鳴っているような深いリバーブをまとい、
聴く者の心の奥に静かに触れてきます。

まるで、
“忘れかけていた記憶の扉がそっと開く瞬間”
を音にしたかのよう。

冬の夜にひとりで聴くと、
その余韻がいっそう長く、柔らかく響きます。


■ 沈黙さえ音楽になるミックス

本作のミックスは、
ダイナミックレンジを大胆に活かした設計 が特徴です。

音と音の間にある“沈黙”が、
まるで雪が降り積もる前の静寂のように、
音楽そのものの一部として機能している。

この“間”の美しさこそ、
『A Moon Shaped Pool』が時代を超えて愛される理由のひとつでしょう。


✍️ 歌詞テーマ──言葉が描く情緒と物語

『A Moon Shaped Pool』の歌詞には、
個人的な痛みと、世界そのものが抱える喪失感 が静かに交差しています。

アルバムの中でも象徴的なのが「Daydreaming」に登場するこの一節。

“Stay / It’s half my life”
(行かないでくれ──僕の人生の半分なんだから)

この短い言葉には、
長い年月を共に過ごした相手との別れ、
そして“人生の半分を失う”という深い喪失が滲んでいます。

同時に、アルバム全体には気候変動や社会の分断といった
地球規模の不安 も静かに影を落としている。
個人的な痛みと世界の痛みが重なり合い、
ひとつの“愛の物語”として響くのが、この作品の特異な魅力です。

だからこそ、このアルバムは若い世代にも強く届くのでしょう。
恋愛や別れだけでなく、
“世界が揺らぐ時代に生きること”そのものを描いているからです。

冬の夜に聴くと、
その言葉の余韻がいっそう深く胸に染みていきます。


🕰 文化背景・時代性──洋楽史の流れの中で見える“現在地”

『A Moon Shaped Pool』が生まれた2016年は、
世界が大きく揺れた年でした。

  • イギリスのEU離脱(ブレグジット)
  • アメリカの政治的転換
  • SNSによる価値観の分断の加速

社会全体が“見えない不安”に包まれ、
人々の心がざわついていた時期です。

そんな中で発表された「Burn the Witch」は、
集団心理の狂気 を描いたMVとともに、
まさに当時の空気を鋭く映し出しました。
魔女狩りのように誰かを追い詰める社会の構造──
それは2016年だけでなく、今の世界にも通じるテーマです。

長く洋楽文化を見つめてきた者として感じるのは、
Radioheadが常に“時代の痛点”を最も敏感に掬い上げてきたバンドだということ。
しかし本作で彼らが選んだのは、
怒りでも、逃避でもなく、
痛みを見つめ、受け入れるという成熟した姿勢 でした。

その静かな佇まいは、
冬の湖面に映る光のように、
時代の混乱の中でそっと寄り添ってくれる。

だからこそ『A Moon Shaped Pool』は、
“2010年代の名盤”として語り継がれるだけでなく、
今聴いても新しい価値を見せてくれるのだと思います。


💿 再評価のポイント──作品の魅力を深掘りする視点

『A Moon Shaped Pool』は、リリースから年月を経るほどに、その静かな輝きが増していくアルバムです。
ここでは、今あらためて耳を傾けることで見えてくる“再評価のポイント”を、そっと掬い上げてみます。


■ 20年越しに結実した「True Love Waits」の再構築

90年代からライブで愛されてきた名曲「True Love Waits」。
かつてはアコースティックギターで熱く歌われていたこの曲が、
本作では 冷たく澄んだピアノ曲 として生まれ変わりました。

その変化は、単なるアレンジの違いではありません。
若さの衝動から、成熟した“受容”へ──
Radiohead自身の20年が静かに刻まれているのです。

そしてこの曲は、聴く者の心にも同じように問いかけてきます。
「あなたの20年は、どんな時間でしたか」 と。


■ 聴く者自身の“時間”を呼び起こすアルバム

『A Moon Shaped Pool』には、
聴く者の人生の記憶をそっと撫でるような力があります。

  • 失ったもの
  • 手放したもの
  • それでも残っているもの

そうした“個人の時間”が、音の余白に静かに浮かび上がってくる。
冬の夜に聴くと、その感覚はいっそう深く胸に染みていきます。


■ スタンレー・ドンウッドのアートワークが象徴する“自然に委ねる美学”

アルバムを象徴する抽象画は、
Radioheadと長年タッグを組む Stanley Donwood によるもの。

彼はキャンバスを屋外に置き、
風・雨・気温といった“自然現象”に絵を委ねる手法 を用いました。

コントロールしすぎず、
自然の流れに身を任せる──
これはアルバムのテーマである“受容”と深く響き合っています。

音楽とアートワークが同じ方向を向いているからこそ、
『A Moon Shaped Pool』は一枚の作品として、
より強い説得力を持っているのです。


🔥 全曲解説──『A Moon Shaped Pool』を彩るトラックレビュー

アルバムを一枚の“物語”として味わうとき、
各曲はそれぞれ別々の情景を描きながらも、
最終的にはひとつの感情の流れへと収束していきます。

ここでは、一曲ずつ丁寧に辿りながら、
音楽・歌詞・時代性・そして少しだけ筆者の体験を重ねて、
このアルバムの核心にもう一歩近づいてみたいと思います。


1. Burn the Witch — 鋭い弦が暴く、現代社会の集団心理

オープニングから、張り詰めたストリングスが胸を締めつけます。
弓の背で弦を叩くコル・レーニョ奏法が、
まるで“警報”のように鳴り響き、
現代社会の「同調圧力」や「魔女狩り」の空気をあぶり出していく。

歌詞に登場する “Shoot the messengers” というフレーズは、
異なる意見を持つ者を排除しようとする風潮そのもの。
SNSが日常になった今、
この曲はますます“現在進行形の警告”として響きます。


2. Daydreaming — 逆再生の声とピアノが記憶の迷宮へ誘う

ゆっくりとしたテンポのピアノと、
逆再生された声が溶け合うように流れていく一曲。
まるで、過去の記憶をひとつひとつ撫でながら歩いているような感覚になります。

その核心を象徴するのが、次の一節です。

“Dreamers, they never learn”
“Stay / It’s half my life”

この言葉の重さは、
ある程度の年月を生きてきた人ほど、
より深く刺さるのではないでしょうか。

MVでトム・ヨークがさまざまな場所を通り抜け、
最後に雪の積もる洞窟のような場所で横たわるシーンは、
“現実からの退避”ではなく、
“静かな受容”のようにも見えます。


3. Decks Dark — 宇宙船が空を覆うような静かな絶望と美

この曲は、空を覆う巨大な宇宙船のイメージとともに語られることが多いですが、
実際に耳を澄ませてみると、
“圧倒的な何かに飲み込まれそうになる感覚”が、
とても静かに、しかし確かに描かれています。

リズムは大きくうねりながらも、
どこか頼りなく揺れている。
その不安定さが、
「世界が変わっていくのをただ見ているしかない」
という無力感と重なっていきます。


4. Desert Island Disk — 軽やかなリズムに、新しい始まりの予感

アコースティックギターの柔らかな響きが心地よい一曲。
タイトルの“無人島のディスク”という言葉どおり、
もし自分がひとりきりになったとしても、
それでもなお持っていたい“何か”について考えさせられます。

ビートは軽やかで、
どこか“新しい始まり”の予感も漂っている。
喪失のアルバムの中にあって、
この曲は小さな希望の灯りのように感じられます。


5. Ful Stop — 暗闇を疾走し、やがて光が差すカタルシス

ミニマルなベースとビートが、
じわじわと加速していく構成が見事な一曲。
最初は霧の中を手探りで進んでいるような感覚ですが、
曲が進むにつれて、
“逃れられない何か”に向き合わざるを得なくなっていく。

ライブで聴くと、
この曲の推進力はさらに強烈で、
暗闇の中を全力で走り抜けたあとに訪れる
“息切れにも似た解放感”がたまりません。


6. Glass Eyes — 列車を降りた瞬間の心細さを包む弦楽

わずか2分ほどの小品ですが、
アルバムの中でも特に胸に迫る一曲です。

ピアノとストリングスが、
“知らない街の駅にひとり降り立った瞬間”のような、
言葉にしづらい心細さをそっと包み込む。

歌詞には、
人混みの中で自分だけが取り残されているような感覚が滲んでいて、
それが冬の夕暮れの情景と重なるように感じられます。


7. Identikit — “Broken hearts make it rain”が胸に降り注ぐ

この曲は、アルバムの中でも比較的ビートが前に出たナンバー。
断片的なギターとコーラスが絡み合い、
“バラバラになった感情のピース”が空中で渦を巻いているようです。

“Broken hearts make it rain”

壊れた心が雨を降らせる──
このフレーズは、
失恋だけでなく、
時代そのものに対する失望や疲れにも重ねて聴くことができます。

感情が整理される前の、
あの混沌とした瞬間を音にしたような一曲です。


8. The Numbers — 自然の力を信じる、穏やかなプロテスト・ソング

アコースティックギターとストリングスが温かく寄り添うこの曲は、
一見すると穏やかなフォークソングのようですが、
歌詞を追うと、
環境問題や自然との共生 をテーマにした
静かなプロテスト・ソングであることが分かります。

“We are of the earth / To her we do return”

人間は自然の一部であり、
いずれそこへ還っていく存在であるという視点は、
激しい怒りではなく、
“受け入れたうえでの祈り”として響きます。


9. Present Tense — 踊ることで痛みを忘れる、切ないボサノヴァ

ボサノヴァのリズムを取り入れたこの曲は、
アルバムの中でもひときわ“身体性”を感じる一曲です。

“In you I’m lost”

誰かと踊ることで、
一瞬だけ痛みを忘れようとする。
けれど、曲が終わればまた現実に戻らなければならない──
そんな切なさが、
リズムの揺らぎとともに胸に残ります。

冬の夜、部屋の明かりを少し落として聴くと、
この曲の“ほろ苦い温度”がいっそう際立ちます。


10. Tinker Tailor Soldier Sailor Rich Man Poor Man Beggar Man Thief

── 霧の中に消えていく夢幻的な音像

タイトルからして“数え歌”のようなこの曲は、
さまざまな立場の人間が登場しながらも、
誰もが同じ不安と孤独を抱えていることを示唆しているように感じられます。

音像は霧の中で形を変え続け、
はっきりと掴めそうで掴めない。
それがかえって、
“世界の輪郭がぼやけていく感覚”をリアルに伝えてきます。

アルバム終盤に向けて、
現実と夢の境界が少しずつ溶けていくような、
重要なブリッジとなる一曲です。


11. True Love Waits — 20年の歳月が辿り着いた、究極の“愛”の形

ラストを飾る「True Love Waits」は、
このアルバムの、そしてRadioheadというバンドの
ひとつの“到達点”と言ってもいい曲です。

90年代からライブで演奏され、
ファンの間で“伝説”となっていたこの曲が、
ついにスタジオ録音として形になったとき、
その姿はかつての熱いアコースティックではなく、
冷たく澄んだピアノのバラードでした。

“True love waits / In haunted attics”

真実の愛は、
“幽霊の棲む屋根裏部屋”のような場所で、
ひっそりと、しかし確かに生き続けている──。

20年という時間は、
バンドにとっても、
聴き手にとっても、
決して軽くはありません。

この曲を聴くとき、
私たちは自分自身の20年をも、
静かに振り返ることになります。

アルバムの最後にこの曲が置かれていること。
それ自体が、
“喪失の先にも、なお残り続けるものがある”
という、静かな希望のメッセージのように思えてなりません。


❤️ ここが刺さる!筆者が推す“本作の核心ポイント”

『A Moon Shaped Pool』を聴くたびに思うのは、
このアルバム全体を包む “許し”と“受容”の空気 のやわらかさです。

若い頃のように、
世界を変えようと拳を握りしめるのではなく、
傷ついた自分をそっと抱きしめ、
流れていく時間をそのまま受け入れていく──
そんな静かな強さが、この作品には宿っています。

特にラストを飾る「True Love Waits」で繰り返される
“Don’t leave” という言葉。
これは単なる恋の歌ではなく、
大切な人を失った経験を持つ誰もが胸の奥に抱えている、
消えることのない祈り のように響きます。

20年という歳月を経て、
アコースティックの熱量から、
冷たく澄んだピアノ曲へと姿を変えたこの曲は、
まるで“時間そのものの重さ”を音にしたようです。

そして不思議なことに、
この曲を聴くと、
私たち自身の中にも眠っている
“20年越しに大切にしている記憶”
静かに呼び起こされていきます。

  • あのとき言えなかった言葉
  • 手放したもの
  • それでも心に残り続けているもの

『A Moon Shaped Pool』は、
そうした記憶のひとつひとつにそっと触れ、
「それでいいんだよ」と優しく寄り添ってくれる。

冬の夜に聴くと、
その温度はさらに深く、静かに沁みていきます。


🎵 関連レビューと次のリスニングへの誘い

冬の静けさや“心の余白”というテーマでつながる、
最近アクセスの高いレビューから厳選した5本です。
検索クエリにも強く、回遊性アップにも効果的なラインナップになっています。


■ Bruce Springsteen『Born to Run』

https://utagoe-hibi.hatenablog.com/entry/rock/album-review/album/bruce-springsteen-born-to-run
“逃避”と“解放”を描くロック史の金字塔。
物語性の強さが『A Moon Shaped Pool』の情緒と響き合う。


■ Norah Jones『Come Away With Me』

https://utagoe-hibi.hatenablog.com/entry/music/album-review/winter-sound/norah-jones-come-away-with-me
冬の夜に寄り添う静かな名盤。
ピアノの余韻・静寂・アンビエント性が「Daydreaming」と深く共鳴。


■ 山下達郎『SEASON’S GREETINGS』

https://utagoe-hibi.hatenablog.com/entry/city-pop/album-review/vocal/yamashita-tatsuro-seasons-greetings
冬の透明感を極めたアレンジ美学。
音の空気感・残響・静けさを味わいたい人に最適。


■ The Last Dinner Party『From the Pyre』

https://utagoe-hibi.hatenablog.com/entry/baroque-pop/album-review/interpretation/the-last-dinner-party-from-the-pyre
バロック・ポップの新潮流。
Radiohead以降のアートロックの現在地を知るうえで欠かせない一枚。


■ 中森明菜『明鏡』レビュー

https://utagoe-hibi.hatenablog.com/entry/j-pop/album-review/full/akina-nakamori-meikyou
“痛みの受容”というテーマで本作と深くリンク。
レビューの中でも検索流入が強い人気記事


作品を聴く


※動画は「Radiohead - A Moon Shaped Pool」公式YouTubeプレイリストより引用

音の表情や息づかいを感じながら、レビューと併せて楽しんでいただければ嬉しいです。

🎧 Spotifyで試聴

公式より引用(Spotify)

さらに深く楽しむために

このレビューが心に響いたら、ぜひシェアして音楽の魅力を広めてみませんか。

🐦 X(旧Twitter) 📘 Facebook 💬 LINE 🔖 はてなブックマーク

▶ 記事情報を開く

記事情報

  • タイトル:Radiohead / A Moon Shaped Pool ── 静寂が記憶を包む解釈レビュー
  • 公開日:2026年1月9日 07:00
  • 著者:我楽(音楽レビューブログ運営)
  • ブログ名:歌声を編む日々
  • カテゴリ:アルバムレビュー/洋楽
  • ジャンル:オルタナティブ・ロック/アートロック/冬の音楽
  • アーティスト:Radiohead
  • リリース日:2016年5月8日
  • レーベル:XL Recordings
  • 演奏メンバー:Thom Yorke, Jonny Greenwood, Colin Greenwood, Ed O’Brien, Philip Selway
  • 収録曲:Burn the Witch/Daydreaming/Decks Dark/Desert Island Disk/Ful Stop/Glass Eyes/Identikit/The Numbers/Present Tense/Tinker Tailor Soldier Sailor.../True Love Waits
  • テーマ:静寂・受容・喪失・冬の情緒・記憶の余白
  • 著者スタンス:アーティストへの敬意と作品への還元を願い、音楽の魅力を世代やメディアを超えて伝える“橋渡し役”として執筆。
  • 評価(★):4.9 / 5.0

🎤歌声の余韻 Vol.17|2026年1月4日号

🎵更新記事ラインナップ(2025年12月22日〜2026年1月3日)

  • 🗓火|12/23:Juice=Juice『盛れ!ミ・アモーレ』配信情報
    ―“隙アモ”がついにデジタルの海へ解き放たれる瞬間
    記事を読む

  • 🗓水|12/24:中森明菜『Merry Christmas, My Heart』歌唱レビュー
    ―静寂がそっと心を包み込む、冬の祈りのような歌声
    記事を読む

  • 🗓木|12/25:中森明菜『明響』全曲レビュー
    ―沈黙の奥で記憶がそっと息を吹き返すアルバム体験
    記事を読む

  • 🗓金|12/26:Juice=Juice『甘えんな』ライブ映像レビュー
    ―まなざしが武道館の空気を染め上げる一瞬の熱量
    記事を読む

  • 🗓土|12/27:坂本龍一『async』音像レビュー
    ―静寂が揺らぎ、記憶の輪郭がにじむ冬の音世界
    記事を読む

  • 🗓日|12/28:Juice=Juice『TRIANGROOOVE2』ライブ映像レビュー
    ―希望の光がステージから記憶へと導く三角の軌跡
    記事を読む

  • 🗓火|12/30:ビリー・ジョエル『ストレンジャー』レビュー
    ―国境を越えて響く“普遍性”が語りかける名盤の証言
    記事を読む

  • 🗓金|1/2:Norah Jones『Come Away With Me』名盤レビュー
    ―静寂が心に染み込み、冬の空気と溶け合うような余韻
    記事を読む


🧠編集後記

今号は、冬の透明感と静けさがレビュー群の中にそっと溶け込み、
年末から年始へと続く“音の移ろい”を読者の皆さんと一緒に辿るような回になりました。

年末も Juice=Juice 関連の記事が続き、昨年後半の勢いがそのまま年明けの空気へとつながっていくようでした。
さらに 中森明菜『Merry Christmas, My Heart』カバーアルバム『明響』 の記事を多くの方に読んでいただけたことが、年末の大きな励みになりました。

次の投稿では、中森明菜さんのデビューアルバム
『プロローグ』 のレビューをお届けする予定です。
2026年最初の中森明菜“語り”として、丁寧に綴っていきます。

新しい年も、音の余韻とともに歩んでいけたらと思います。

次回の“冬音巡り”第6回は、Radiohead『A Moon Shaped Pool』です。
音楽の余韻を綴る「歌声の余韻」シリーズ、次号もどうぞお楽しみに。